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ZOZO 2019年3月期2Q決算とPB事業の今後を読む

   

10/31にZOZOが1Q決算を発表しました。

今回の記事では前半で数字の確認、後半でPB事業の可能性と個人的な投資判断を書いてみます。

※多分に妄想を含んでいます。その上長いです。

時間が無い人のために先に結論を書いておきます。

POINT

  1. 今期業績は芳しくないものの、PB事業に良い変化の兆し。
  2. 投資的には売りではなく買いを検討する段階と考える。

2019年3月期2Q決算

業績

ZOZO、上期経常が28%減益で着地・7-9月期も29%減益
ZOZO <3092> が10月31日大引け後(15:00)に決算を発表。19年3月期第2四半期累計(4-9月)の連結経常利益は前年同期比27.7%減の100億円に減り、通期計画の400億円に対する進捗率は25.0%にとどまり、5年平均の41.3%も下回った。

会社側が発表した上期実績と据え置いた通期計画に基づいて、当社が試算した10-3月期(下期)の連結経常利益は前年同期比58.7%増の299億円に拡大する計算になる。

直近3ヵ月の実績である7-9月期(2Q)の連結経常利益は前年同期比28.9%減の41.4億円に減り、売上営業利益率は前年同期の27.5%→15.4%に大幅低下した。

株探ニュース

進捗率

株予報 – スタートトゥデイ 2019年3月期 2Q

PB事業

19/03期 2Qハイライト

事業別内訳
・ZOZOTOWN事業 商品取扱高:1,367.1億円(前年同期比17.4%増)
受託ショップ 1,290.1億円 (同17.5%増)
買取ショップ 0.9億円 (同 2.7%増)
ZOZOUSED 76.1億円 (同16.1%増)
・PB事業 商品取扱高:6.5億円
・平均出荷単価: 7,777円(同5.0%減) 商品単価:3,655円(同0.2%減)
・BtoB事業 商品取扱高:38.4億円(前年同期比21.9%増)

2019年3月期第2四半期決算 決算説明会資料

PB事業の商品取扱高は、2Q計画値15億円に対して6.5億円で-9.5億円(計画比43%)でした。

ZOZOスーツなしで注文可能に

決算説明会補足資料より抜粋

当初はZOZOスーツで個人ごとのサイズを計測し、そのサイズで服を作ることによりジャストフィットを実現するという話でした。ところがZOZOスーツでの計測は誤差が大きいという致命的な問題が発覚。そこで、個人ごとの実測値は諦め推計値で代用する方針に切り替えました。夢追いから現実志向に切り替え、PB事業を収益化しますというシグナルです。このピボットは4Q決算と予想していましたが、2Qの時点で出してきたので驚きました。

#裏には社内事情もあるのかなと推測。顧客に支持され懇願されながら期待に応えるべく頑張るのと、文句を言われながら挽回のため頑張るのでは後者の方が圧倒的に消耗します。前澤さんの優先度は取引先ブランド、協力会社、自社社員、間飛んで株主(特に個人投資家は本音では一番どうでもいいw)だと仮定すると、株主に夢を見せて社員を犠牲にするより方針転換を選ぶのは自然なことです。

ところで、身長・体重・年代・性別といった属性からどうして最適サイズが割り出せるのか疑問に思うかもしれません。これは原理的には全く難しくありません(=新たなコストはかかりません)。ZOZOは計測データを集めたことにより、以下のような属性×計測値のデータを手にしました。前澤さんが言っている教師データとはコレのことです。

このデータがあれば、性年代・身長体重と首回り・肩幅・胸囲等のサイズの間にそれぞれどの程度相関があるのかを計算することができます。ものすごく荒っぽく言うと、例えば「首回り」は性別の影響が50%、年代の影響が5%、身長の影響が25%、体重の影響が20%、のように関係性を数式化できるということです。

数式化できるということは、性年代・身長体重が分かれば「首周り」など体型サイズの予測値を算出できるということです。もちろん「肩幅」「胸囲」etc.も同様。以下は上記Aさんに近い属性のFさんが性年代・身長体重を入力した場合の例です。属性から体型サイズの予測値を割り出しています。

当然ながら予測値はAさんに近いものになっています。前澤さんが度々口にする機械学習での精度向上とは、この数式が吐き出す予測値と、実際のFさんの体型サイズの差を減らすということです。

#予測値を算出するのではなく、PB商品のサイズバリエーションと付き合わせて一番近いサイズに分類する方式を採用している可能性もあります。いずれにせよ、ZOZOスーツで取得した実績値と属性データを既存データとして新規顧客への最適解を割り出すという話です。

Q&Aより

決算説明会Q&Aより抜粋

Q&AからPB事業に影響が大きそうな3つを抜粋してみました。

1点目。極めて精緻な体型データ予測ができると言い切っているのはなぜか。これは上記①のようなデータのうち一部をテストデータとして、数式からはじき出される予測値と実際の値との差が十分小さくなるような数式を作ることができたということでしょう。例えばAさんをテストデータとして見た場合、首回りについて数式の予測値が36.9、実際の値が37.1なら予実の乖離率は (37.1-36.9)/37.1 = 5.4% となります。前澤さんが度々口にする「学習」とは、この乖離率がより小さくなるよう、すなわち予測精度が上がるよう数式を調整するということです。この学習作業はすでに取得しているデータを使いますので、新たに計測データを取得する必要はありません。

2点目。まず、上記①の属性データの組み合わせの数を考えます。性別が男女2種類、年代が10代〜50代および60代以上とすると6種類、身長は150未満から180以上で10cm刻みで区切れば4種類、体重は40未満から100以上で10kg刻みで区切れば8種類で、これらを掛け合わせると2×6×4×8=384通り。これが最低限必要と思われるセグメント数です。1セグメントあたり必要なサンプルサイズは…マーケティングなら50あればいけると思いますが、少しの誤差が違和感になる服なので誤差1%とするなら…本当の理想は10,000サンプルくらいでしょうか。データクリーニングで5%消えても9,500は残るし、それ以上サンプルが増えても精度は変わらないです。となると、384×10,000=384万サンプルあれば理想ということになります。が、実際にはその1/10で十分じゃないのかなと思います。数自体より、極めて背が高いとか平均から外れたセグメントのサンプルを最低限機械学習に必要な分だけ集める方が重要です。Q&Aの回答にある特殊体型の方のデータです。

3点目。ZOZOスーツ最大の弱点である計測誤差がモロに出てしまったビジネススーツですが、今後も継続はするようです。投資視点で言えばここはカジュアル中心にすると答えて欲しかった。計測という縛りが外れたので、ベーシックなもの以外に独自ブランドを出しますとか言ってくれたら株を買ってたと思います。それだと当初の話と一貫性が取れないじゃないのという向きもあるかと思いますが、ここの考えを変えても前澤さんの中では大した問題じゃないと判断されるんじゃないかなと考えています。なぜそう考えるかは後述。

前澤さんの世界観

ZOZOの先行きを読む上で、前澤さんの価値観は抜きにできません。以下、私が勝手に想像する前澤さんという人の考え方です。

他者へのリスペクトを大事にする

高級なアート作品に惜しげも無く大金を出したり、派手なお金の使い方が話題になる前澤さん。最初は成金趣味なのかと思ったのですが、色々な言動を見ているとそういうわけでもない気がします。ではなぜポンと大金を使うのかというと、前澤さんにとってお金を出すとは相手への敬意を示す行為に他ならないのではないかと思い至りました。

フツーの小市民にとってお金とは安全を担保するものだったり欲望を満たすためのものだったりするわけですが、莫大な収入が定期的に入る前澤さんはそんなレベルは超越しています。前澤さんにとってお金を払うこととは自己実現なわけです。こんなすごいモノを作ってくれてありがとう。驚くような金額も喜んで払うよと。支払う金額は敬意の大きさを示すスコアなんだと。

相手が顧客だとしても、他者への敬意が無い発言には怒りを隠しません。送料を払いたくないと言った顧客に対して怒ったのは、送料を払わない=敬意を示さない という行為が許せなかったのではないでしょうか。

究極のゴールは世界平和

前澤さんの夢は世界平和です。その思いは一時期話題になった(?)以下で語られています。

僕が考える世界を平和にする方法

競争を制して君臨するといったアングロサクソン的な肉食獣ではないわけです。

この考え方はZOZOの経営にも影響を与えています。一番わかりやすいのが社員間の報酬になるべく差を付けないようにしている点でしょう。社内がギスギスせず笑顔になるよう心配りをしています。

ピース&リスペクトの精神と社員の扱いからPBの展開を読む

ここでZOZOスーツの状況を重ねて考えてみます。自社の社員に笑顔でいてほしい。その社員を消耗させてまで、うまくいかず世間からブーイングを受けるようなことをやらせ続けるでしょうか?

まず、2Q時点でZOZOスーツで個人ごとにサイズを測定する方式は諦めました。個人的にはがっかりでしたが…前澤さんの究極の目的は世界平和であって、それはサイズ問題の解決より上位なのです。大事な社員の笑顔を奪うことは世界平和に反するわけで、計測→フルオーダーにこだわることより優先されてしかるべきなのです。

同時に、中途半端な状態でリリースしないようZOZOスマートファクトリーなる施設を設けました。これで計測に関して顧客から責められる状況から社員を解放しました。

さて、次は当初の目論見が外れた分をカバーして業績を上げる方法を考えなければなりません。しかも社員を笑顔にして。

単なる私の勘ですが、これからは「ZOZOすごい!」と言ってもらえるような、社員が誇りを持てるようなPB製品の開発に力を注ぐ方向に進むのではないでしょうか?

となると、Q&Aで質問が出ていたようにカジュアル製品に重点を置く展開になるのが自然だと思います。サイズにシビアなビジネススーツを推計値方式でやるのはリスキーなので、カジュアル製品の比重が高まるでしょう。スーツ等のフォーマルの方が単価が高いでしょうから、それが無くなるマイナスを補うべく単価の高い独自ブランドPB服をカジュアルで出してくると予想しています。

ただしこれをやると取引先ブランドの離反を招くリスクがありますよね。予想通り独自ブランドPBが発表された場合、その点を乗り切れるのかも注視すべきでしょう。

 

投資判断

結論から言えばZOZOは売りではなく買いのタイミングを計る段階だと見ています。

  1. ハイリスクハイリターン:即買い
  2. ミドルリスクミドルリターン: PB事業の成長性が見えた段階(決算)で買う

セルサイドのレーティングを見ると目標株価が下方修正されていますが、株価が下げづらくなってくるなら大口は1の方針で買ってるということかもしれません。

 

以上です。

考えていることを吐き出すように書いたら思いのほか長文になってしまいましたw

ここまで読んでいただきありがとうございます。

 

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