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AIの浸透と投資を考える

   

投資においてセクター選びは重要だ。ビジネスでいえば市場を選ぶことと同じで、先々拡がりのあるところに力を注げば市場拡大の恩恵を受けられる。すなわち業績の向上、株価の上昇が見込める。

2019年5月現在、最もアツいセクターはAIだろう。経済ニュースでAIを見ない日は無いと言ってもいいくらい、猫も杓子もAIだ。なぜこれほど取り沙汰されるのか?自分考えを整理するため書き残しておきたい。

 

情報が溢れ、選択肢が増え過ぎ、効率が悪くなった

まずインターネット黎明期から今までを振り返ってみる。

1990年代にインターネット接続サービスが始まり、Windows95の登場と相俟って世界中に”ネットユーザー”が生まれた。まだネット上で発信される情報が少なく、情報の道先案内はYahoo!のようなディレクトリ型ポータルなどのリンク集が担っていた。情報が少ない時代はそれで十分だったのだ。通信インフラはできたものの、その上に乗る情報が圧倒的に少ない状態だった。

時が経ち、徐々にネット上の情報は増えていった。ネットの情報は新聞・雑誌と違って賞味期限がない。時間の経過とともに積み重なり増えていく。さらにブログが登場し、情報の発信が容易になったことでネット上の情報は加速度的に増加した。情報が増えると、これまでのリンク集をたどる方式ではいささか不便となる。そこで頭角を現してきたのがGoogle等の検索エンジンだ。検索が可能になったことで、ネットユーザーは欲しい情報へ能動的にたどり着くことができるようになった。通信インフラができ、その上に十分な量の情報が乗り、そのアクセス手段も整備されたのだ。

そして現在。ネットを介したビジネスは一般的となり、個人にはSNSが拡まり、情報の発信量は爆発的に増大した。ネット上の情報があまりに多くなった結果、皮肉なことにネットユーザーは自分が一番必要とする情報にたどり着きづらくなっている。広大なジャングルの中に目的の木が隠されてしまった。選択肢が多過ぎるのだ。

このような背景から、増えすぎた選択肢の中からコスト(労力)をかけずに目的の情報にたどり着く手段の価値が高まっている。



AIとビジネス

上で書いた選択肢過剰問題の解決策として最も筋が良いのはAIだろう。AIによるサービスが革新的なのは、従来のゼロイチでの条件判定に確率・統計の概念を持ち込んだことだ。これまでより遥かに柔軟な予測と分類(識別)が可能になる。

具体例としては検索エンジンへの応用がイメージしやすい。人間の欲求など大体は似通っているのだから、性年代等の属性データと行動データを既存データとして予測値を弾き出す仕組みが機能することは容易に想像できる。Googleの検索欄にキーワードを入力し始めると、自分が調べたいことを先回りでサジェスチョンされた経験はないだろうか?自分の知りたいことをなぜ知っているのと驚くけど、人間である限り欲求は似ているのだから整合性のある話だ。

AIの価値は既存の機能・仕組みの置き換えだ。検索エンジンに限らず、あらゆるものがリプレースの対象となる。このような変化を起こすAIが世界に浸透してゆく中、どのようにビジネスを考えたらよいのだろうか?どのような新サービス(アプリケーション)が生まれるか・広まるかわからない、そのような中で勝者として生き残る企業となるにはどうしたらよいか? そのひとつはサービス構築の大元となるデータを独占するか、そのデータをAIに流用するコア技術のシェアを押さえることだろう。そして新たなサービスを作り出す者にそれを使わせることだ。内部に食い込み、離れられなくさせるのだ。前者はGoogleやAmazonが圧倒的に有利な立ち位置に居る。昨今目を付けられ規制の対象になっているが、これは構造の問題なので本質的に競争優位を揺らがせるものではないだろう。次に後者を考えるとGoogleやMS、IBMなどが該当する。彼らがAIのモデル構築をラクにするためのコア技術をライブラリ化して提供する理由が理解できる。自社のコア技術の上に成り立つサービスを作ってもらえれば、後から収益化できる上に他の巨人を締め出せるからだ。いつどこからどんな新サービスが生まれてくるかわからない状態に対応するには至極合理的といえる。#コア技術はコンピュータ黎明期の半導体に相当するようなもので、本来日本企業はこの後者部分のシェアを取りに行かなければならないはず。資源のない国が覇権を握れる大きなチャンスが他にあるだろうか?




データ、コア技術で圧倒的シェアを押さえれば確実に勝利を掴める。しかしこれらは巨人同士の戦いで、今から一般企業が参入するのは大変厳しい。となれば次に狙うはサービス(アプリケーション)だ。toBなら単価が高いモノ、または量が多いか頻度が高いモノについて、AIを使うことで劇的にコストカットが図れるサービスを作ることができれば、- 巨人との戦いには勝てないが – 同業他社との競争には勝てるだろう。BtoBtoCでも同じ。一方、toCではどんなサービスが考えられるだろう?これまで能動的に情報を取りにいくときは検索エンジン、受動的な情報の受け取りはSNSと棲み分けがあった。今後AIの隆盛とともに、この能動・受動の中間に位置するような新しいサービスが出てくるのではないだろうか?おそらくそれはリアル世界の人間同士のコミュニケーションに近いものだと予想する。目が会うだけで意図が伝わるような感覚だったり、今の自分の気持ちを汲み取って提案してくれるように感じるもの。検索するまでもなく察したり、趣味嗜好に合った人たちを介さず情報を提案される世界。そんな現実世界のコミュニケーションを精度高く置き換えるナニカが生まれてくるのではないだろうか。新たなデバイスの登場で一気に進むかもしれないし、部分的にひとつずつ実現され、その度に少しずつ検索エンジンやSNSが担っている役割を侵食してゆくことになるのかもしれない。

データ、コア技術、サービス(アプリケーション)をすべて奪われたら後はどんなビジネスができるだろう?残るはサービスを導入したい企業への導入コンサル、サポートだろうか。これは裾野広く低リスクでそれなりに売上が立つだろうが、やがて競争過剰からの安売り競争、需要一服したら終わりの商売だ。#とはいえ3年くらいは持つだろうから逃げるタイミングを間違わなければ投資でリターンを得られるだろう。今日本の企業においてAIで商売といえばこれを指すケースが大半なのではないだろうか?

 

AIと株式投資

ここまでの話をまとめると

  • 情報過剰で選択肢が増え過ぎローコストで正解へたどり着く手段の価値が高まっており、その手段としてAIは相性が良い
  • AIの価値は既存機能の置き換え
  • AIビジネスの戦場は①データ、②コア技術、③サービス(アプリケーション)、④導入コンサル・サポート の4層で上から下へいくほどリスクリターンが下降

といったところ。

投資において特に重要なのは3つ目だろう。投資対象の企業が①〜④のどのタイプに該当するか?世の中の流れから考えて、今投資するならどのタイプが一番リスクリターンが高いか?を考え、その上で銘柄を選ぶのが良いのではないかと考える。

あえてタイミングは無視し、結局一番強い①のタイプの中でさらに一番シェアを獲った企業を買う方法もあるだろう。おそらくこのような企業は向こう10年は地位が揺るがないだろうから。

日本の株式市場でいわゆる“AI関連銘柄”と呼ばれる企業に目を向けると、①に近いほど高いPERで評価され、④に近いほど通常のシステム開発会社のようなPERで評価されているようだ。個人的には①に近い企業を極力安いタイミングで買う、が最も期待値の高い方法と考えている。そのためにはどうすればよいか?それは、市場がタイプ③や④と認識している企業が実は②や①の正格を帯びていることを他人より先に見抜くことだ。これでPERの水準訂正を取れる。将来的にはEPSの成長分も取れる。もちろんこれは言うは易く、行うのは難しい。#だからブログにも書ける。

 

おわりに

いま頭の中にあることを色々と書き出してみた。また時間を置いて、考えが変わったり、具体的な投資事例ができたらこのブログに書き残したい。

長文にお付き合いいただきありがとうございました。

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